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霊能力と超能力13

中村天風の一念発起

 

中村天風の生涯については、おおいみつるさんが3冊の本を書いています。しかし、これらの本を通読しても出てこない時期があります。

例えば、中村はインドの帰りに中国に立ち寄り、孫文に会って何か活動して大金を手に入れて日本に帰ってくるのですが、それがどのような活動だったのかは書かれていません。

 

いずれにせよ、中村はその大金を元手に会社を起こし、社長業を始めます。会社は順調で、かなり羽振りがよかったといいます。なにしろ午後になると会社を出て、新橋で芸者を上げて遊んでいたというのですから大変なものです。

 

ところが、そうした生活を続けていると、しだいに不満が高じてきました。そして、こういった浮薄な生活をして俗人の塵にまみれて一生を終えていいのだろうかという疑問にとらわれるようになりました。

 

その挙句、中村は突然会社を閉じ、東京の上野公園で毎日辻説法を始めます。無性に人々に自分の考えを伝えたくなったのです。その結果、無収入になりました。ずいぶん無謀なことをやったものです。

毎日、上野公園で心に浮かんだことを話していると、しだいに人が集まるようになりました。

そして、天風会という修養団体ができました。この会は今でも本部が護国寺の中にあります。私は一度売店に行ったことがあります。

 

中村の会は宗教なのかというとどうも違うように思います。ですから天風会は宗教団体ではありません。よって中村は宗教の教祖ではありません。私にはこの会の性格がいまだによく掴めていません。いずれにしても変わった会です。

 

中村のこの行動、一念発起は、一種の自己否定です。霊能者は霊性を高めるために、自己否定をしなくてはなりません。すべてを捨てるという行為です。釈迦もそうでした。

中村もヒマラヤで霊性に目ざめていましたので、このような行為を始めたのはある意味で当然だったのです。

 

中村はその結果、自分の考えを人に説き、心身の修養の方法を教えました。そして多くの人が中村の教えを乞うようになりました。中村の行為は一種の人助けでした。

実は、本当の霊能者は人助けができるようになります。人助けができる霊能者こそ本物の霊能者なのです。

中村のすべてを捨てたこの行動は、霊能者の本質をよく表しています。

 

また中村の行動は、鎌倉時代の宗教家の辻説法や行動を思い出させるものがあります。そういう意味では疑似宗教のようにも思われます。